歯周病菌のひとつであるPg菌が、関節のたんぱく質を「シトルリン化たんぱく」に変えてしまいます。
それが体内では異物と認識され、シトルリン化たんぱくに対抗するための「抗CCP抗体（抗シトルリン化たんぱく抗体）」が作られます。抗CCP抗体の働きで、滑膜に炎症が起き、関節リウマチを発症します。
関節リウマチ患者の70〜80％が持っているとされる抗CCP抗体は、歯周病が原因で作られる可能性もあるのです。

また、関節リウマチ患者の腸内細菌には、歯周病原因菌が多いことが、大阪大学などの研究で分かっています。
腸内細菌は身体の免疫に関連しているため、腸内に歯周病原因菌が多いことも、リウマチの発症につながっている可能性があります。腸内細菌を整える意味でも、リウマチ患者様は、歯周病の治療がとても大切です。

図1：歯周病と関節リウマチの新たな関連メカニズム

リウマチ患者は、免疫抑制剤・ステロイド剤・生物学的製剤など複数のお薬を飲んでいるため、感染しやすいです。
歯科治療を受け感染し、体調が悪くならないように配慮が必要です。
また、顎関節の変形・口腔内乾燥症・手の変形により、歯磨きがしにくくなるなど特有のお悩みを抱えていらっしゃいます。

1. 口腔内の細菌を減らしてから治療

   

   治療前にポイックウォーターで徹底洗口し、口腔内の細菌数を減らしてから治療を始めることにより感染しにくく安全な治療ができます。

2. 治療に使う水は除菌水を使用

   

   治療に使う水は、口腔内を洗浄除菌しながら同時に治療できる除菌水であり、治癒が早くなるとともに、血管内に細菌が入り込む「菌血症」も予防できます。

3. 歯の寿命を伸ばす治療を推奨

   

   詰め物・被せ物などの保険治療は、再感染や重金属汚染のリスクがあるため、歯を極力削らず歯の寿命を伸ばす自費のレーザー治療・セラミック治療を推奨します。

4. 顎関節が弱い方へ配慮した治療

   

   長く口があけられない場合は、治療中は適宜口を開けたり閉じたりして、無理のないようにスタッフ一同配慮します。

5. 就寝時でのマウスピース着用

   

   リウマチ患者様は、顎関節の変形等が多いため、就寝時のマウスピース着用をお勧めする場合がございます。

6. 症状に合わせたホームケアを指導

   

   リウマチの症状や薬の副作用で虫歯や歯周病が重症化しやすいので、ご自宅でのホームケアが重要です。当院では、患者様の症状に合わせたホームケアの指導を行い、口腔内環境を整えてから治療に臨んで頂きます。

7. 栄養管理士推奨の食事を案内

   

   糖分や小麦製品を多く摂ることで、体内に炎症が強くなります。当院所属の管理栄養士が、自然治癒力が高まる食べものをご案内します。

8. 医科歯科連携治療

   

   リウマチの主治医の先生と連携を取り、現状を把握しながら最善の歯科治療をします。